お母さんは一瞬困った顔をしたが、桃威と一緒に看護婦さんの後を追いかけた。


私は二人の背中を見送った後、桃威が座っていた場所に腰掛けて祈った。



翔太が助かりますように……



こんなに本気で神様にお祈りしたのは、今回で3回目だ。


1回目は、お父さんが死ぬ時。


2回目は、翔太たちの両親が死ぬ時。


そして今回…。


私から大切な人を奪ってくのは、前回で終わりにしてほしい。


今回は、翔太を生かしてほしい。




足音が聞こえ、はっと頭を上げる。


そこには、泣いている桃威の姿があった。


まさか……!


最悪な結果が脳裏に浮かぶ。


「とう……い…」


私が立ち上がると、桃威が私の背中に腕を回した。


「と、桃威?」


「お願い。少しだけこのままで…」


桃威は私の胸の中で、声を押さえて泣いている。


やっぱり、翔太は……