「おい、声がでかいって」

恭平に諭されて店内を見回せば、
隣のテーブルに座る2人の女の子が笑いを噛み殺していた。

恥ずかしさに肩をすくめる。

「恭平!それで、
その由美子って人妻とはそれからどうしたんだよ!」

「怒るなよ、タシロ。
だから声がでかいって」

タシロにしてみりゃ、強力なライバル出現って感じか。

恭平を見る目は憎しみ色に染まっていた。

もう完全なアホだ。


「俺もう帰るよ。
聞きたいって言うから話したのに
何でタシロに怒鳴られなきゃいけないの」


「逃げるのか!」と、タシロ。


「人妻とのセックスって、ど、ど、どう」と
好奇心旺盛に、激しくドモル村上。


周囲の客の視線が強くなり、俺はいたたまれなくなる。


「とりあえず場所移そうぜ。
雀荘行こう、雀荘。
そこで続きを聞こう。なぁ」

恭平の顔を見つめる。

小学生がそのまま大きくなったような幼さが残る顔。

恭平はどんなセックスをするんだろう。

どんな技を持っているんだろう。

経験の浅い俺が実は一番、
恭平の話の続きを聞きたかった。

浅いどころじゃない。

正真正銘の・・・

ふん、童貞さ。


「さ、行くべ」


恭平の肩を抱き、ガードするようにしてガストを後にした。