「あっ音緒ちゃん!!
 この人たち誰ぇ−??」


『にょにょ−ん』と意味不明な言葉を発しながら携帯を突き出す


写っていたのは,この前撮っただろう争ってる奈緒子と縁だった



「こいつらは同じ施設の…女が奈緒子で男が縁」


「3人は仲良しなの??」


「まぁな
 前に話しただろ?
 約束を守ってくれた人,こいつらなんだ」


すると初音が『今日約束を守ってくれる??』と聞くから,俺は昔の記憶を辿る






あれは…確か10年前の調度今くらいの季節


施設に入って2回目の冬を迎えた頃


施設には慣れてたし,縁がいたし,奈緒子もいた


何も問題はなかった…と思っていた


けどあったんだ,俺の胸の中に



「縁−っ
 奈緒ちゃんまた怒ってる!!」


この頃から奈緒子とじゃれあう縁に,いつでもどこでも振り回されていた


そんなだけど,俺はどうしようもないガキで,弱いくせに威勢だけ強く,いつも肩肘張って生活していた


無意識のうちに弱みは見せず,何にも無関心…期待もしない


本当に冷めたガキだったんだ