「音緒って暗い顔まじ似合うから止めて?」


満面の笑顔で言われた言葉を理解するのに数秒を要した


暗い顔が似合う…?


似合わないじゃなくてか…?


まぁこういうヤツだよな縁は


俺は鉄拳をお返し,さらに背中を思いっきり叩いてやった



「縁は真面目な顔似合わねぇから!
 だから俺協力してやるよ
 姉貴…探すんだろ?」


一瞬驚いた表情を見せたが,すぐにいつもの憎たらしい笑顔で『ありがとな』と呟いた



「これが住所だよ」


戻ってきたおかあさんに渡されたのはピンクのメモ


それには丸っこい字で住所と簡単な地図が書かれていた


それは明らかにおかあさんの字ではなく,それでいて見覚えのある字


すぐピンと来た…のは縁も同じらしい



「おかあさん“アイツ”借りていくよ?」


『送り届けてくれるならね』とおかあさんから許可はもらえた


“アイツ”のことは有無を言わさず,引きずってでも連れていく気だろうな…


【今日用事が出来た
 食事はまた今度で】


慌てて母さんにメールをし,すでに出て行った縁の後を追った