みるみるうちに大きな瞳はキラキラ輝き,じたばたと手足を動かす



くるっと振り返り俺の腕を叩く初音に発作の心配があったため落ち着くよう諭す




「音緒ちゃんすごい!!
 魔法使いみたいねっ」



2回深呼吸を繰り返した初音から賞賛の声が上がる




「すげぇだろ?
 まっ俺にかかればこんなもん余裕」



何て当たり前だというように大口を叩いてみたが,内心は本当に嬉しそうな初音を見て,少し苦労したけど“魔法使い”みたいだと言ってくれて飛び上がりたいくらい嬉しかった



そして初めて編みこみと呼ばれるものをしたり,ピンを使ったり


正直すごく楽しかったんだ




「美容師さんとか向いてるのかもね!」



何度も違う角度から見ては笑顔を見せるのが可愛くて頭を撫でたら『髪が崩れるっ』と言われてこれも考えものだなと苦笑い


嬉しそうだからいいんだけどさ?




「これから来た時はいつも髪やって!」



「いいよ
 明日はどれがいい?」



“明日”


そう言ったのに俺は翌日,やってあげられなかった


けど初音は“来てくれてありがとう”と笑顔で迎えてくれたから


すっげぇ救われたんだ