「ここに美味しいお茶は置いてありますか?」

レジを挟んで、有栖川 聖一郎(ありすがわ せいいちろう)がにっこりと微笑んだ

紺色の和服に身を包んで、穏やかな笑みを浮かべている

女のような白く綺麗な肌に、黒い瞳

細長い綺麗な指

爪はどこかのネイルサロンで整えているのだろうか

艶があって、爪先が平らになっていた

「アナタが飲むようなお茶は、ここにはありません」

私は有栖川から、視線をそらした

見たくもない顔だわ

なんで、私の前に立つのよ

まるで、探していたみたいな言いかたをして……

『こんなところにいたのですね
捜しましたよ、滝沢愛子さん』

ついさっき言われた言葉を、思いだすなり

私の体に寒気が走った