無色の日の残像

 想像すらしていなかった。
 たったの二年後、同じこの島の近くの海で、こんな形で再会することになるとは。

「空気、なんできみが──」
「命令なんだ。仕方ない」

 その屈託無い表情からは想像もできないほど、淡々とした口調で短く空気はそう言った。

「あ──あそこには、透明がいるんだ!」

「知ってるよ」

「透明だけじゃない! たくさんの入院患者や、人の命を救うために働いている人たちが──罪のない人々が大勢いるんだよ」

「わかってる。だからこそ──意味があるんだってさ」

「わかってない! 空気、きみは──わかっていても全然わかってないよ!」

「──無色?」

 驚いたような顔の空気に、無色は震える声で怒鳴った。

「きみが僕に、花の色をちゃんと見えるようになれって言ってくれたんだよ!」