無色の日の残像

「あの日と同じだな」

 空気は汗で貼りついた髪の毛を掻き上げた。
 機体が波で揺さぶられる。

「そうやってお前に撃ち落とされて、銃を向けられてさ」

 固まっている無色の前で、十八歳になった空気は白い歯を見せて笑った。

「お前、相変わらずチビだなあ──男みたいな髪型もそのまんまかよ。全然変わらねえなあ」

「なんで──」

 無色は凍りついたまま、繰り返した。

「なんで、空気が──どうして、きみがこんな所にいるんだよ・・・・・・?」

「ああ、兵役だよ。高校卒業して、大学入った後すぐに軍に入って──二等兵だってさ。お前の少尉には全然届ねえな」

「・・・・・・今は大尉だ」
「うわ、マジで!? すっげえ」

 空気は屈託無く笑った。

「何だよ、そんな途方に暮れた顔すんなよ」
「──どうしてだっ!?」

 無色は叫んだ。