灰白色、というのだろうか。
 もともとそんな色なのか染めているのか、柔らかい色の髪が風に揺れている。

 ひょろっと痩せたひ弱そうな体に、青白い顔。

「俺らと同じくらいのガキじゃねえかよ」

 クウたちに銃口を突きつけているのは、小柄な体に不似合いな軍服を着込んだ──十五、六歳くらいの少年だった。 


 海鳥の鳴き声が聞こえる。
 風が波間を渡ってゆく。

 三百六十度、辺りは見渡す限り海。


 夏も終わりにさしかかった九月、頭上には水平線の向こうまで雲一つなかった。