「西側のスパイか!?」

　銃を構えたまま、パイロットが戦闘機の上から翼に飛び降りる。

　もう駄目だぁー、と呟いて、ウミがヘナヘナと座席に座り込んだ。

「いや、違っ──俺たちは──」
「何の目的で侵入した!?」

　必死に説明しようとするクウを無視して、パイロットは戦闘機の翼から、彼らの飛行機の翼へと飛び移ってきた。

「やれやれ──クソ！　僕は休暇中だって言うのに」

　翼の上でぼやくそのパイロットを、クウはまじまじと見つめた。

「面倒なことになったな」

　戦闘機の影に入ったために眩しい逆光線から解放され、ようやく見てとれた相手の容貌、それは──。

「な、何だあこいつ･･････」

　クウは思わず声を上げた。