夕飯を食べ終わり、用意された部屋に引き上げようとすると、マスターは三人を海に誘った。

「おいでよ。いいものが見られるから」

 言われるままについて行くと、マスターは砂浜をしばらく歩いた所で足を止めた。

「ほら、見て」
 そう言ってマスターが示したのは、何の変哲もない夜の海だ。

 九月の夜気がやや肌に寒い。
 昼間よりも大きく波の音が聞こえた。

 三人は首を傾げた。
「何も見えませんけど──」
 しばらくの間鋭い視線で海を見つめていた無色が、怪訝そうにそう口にした時だった。

 あっと、空気と羽海は同時に声を上げた。

 真っ暗に見えた水面が、うっすらと青白く発光している。

「凄い!」
「何だコレ!?」