少女はベッドの上で、弱々しい微笑みをこぼした。

「小さい頃から戦闘訓練ばかり受けてきたからかな。無色はきっとね」

 透明は、こんなことを言ったのだった。

「花の色なんて見えないように育てられちゃったの」


 夕暮れの風に揺れるコスモスを背にして、無色が再び歩き始める。

 その背中を見つめる空気の耳の奧で、「空気、羽海、無色と仲良くしてあげてね」という寂しそうな透明の言葉が響いていた。