「お返事まだいただいてないですけど」

 くそ真面目な顔で問い質す無色に、「本当に笑わないなー無色ちゃんは」と雨鳥は苦笑した。

 無色くんではなく、初めて無色ちゃんと言った。

「んー? そうだなあ」

 雨鳥は無色の頭に手を置いて、三年前と同じようにくしゃくしゃにした。

「ま、笑い方はこれから一緒に取り戻そうか」

 無色の問いにそう答えて、雨鳥は鋼鉄の少女の真っ白な髪を撫でた。




 夏の終わりの九月、水平線の向こうには金色に染まった雲が幾つも流れていた。






  - piece 了 -