無色の日の残像

 大きな無色の瞳を真っ直ぐ見つめて、雨鳥は語った。

「かぐや姫じゃないけど、生物兵器ってのもある意味切り札でね。西側はこのウイルスの存在を知っていたから、ずっと思い切った攻撃ができずにいた。だが──空気がうまくやってくれたんだな」

 雨鳥は、三年前にも無色に対して時々見せていた──何かに怒っているような、悲しんでいるような、あの目をしていた。

「それで、一年前の同時多発攻撃が行われた」

 無色から全てを奪い去ったもの。
 透明の笑顔を、透明の命を、全てをむしり取って、ずたずたにしたもの。

「データが西側に渡れば、西側がこれまでとれなかった強行な作戦を実行することはわかってた。俺はね、わかってて空気にデータを持たせたんだ」

 目を逸らすことも伏せることもせず、雨鳥は無色の瞳に語った。

「許せないかい?」