無色の日の残像

「軍は情報が漏れるのを恐れて、俺を西には絶対に帰してくれなかったけど、でもこれで兵器の開発は頓挫するだろうと俺は間抜けにも安心してた」

「殺人ウイルス──? 成木雨鳥・・・・・・」

 無色はようやく、軍で兵器開発者としてその名を聞いたことをはっきりと思い出した。

「遅かったんだ。俺がいなくなってもウイルスはちゃんと完成した。若者故の馬鹿な行為が招いた結果さ」

 雨鳥は、腕の力を緩めて無色の体を少し離し、彼女の瞳を覗き込んだ。

「俺が三年前、空気と羽海をここに泊めた本当の目的は、彼らに持ち帰らせるためだった」

 持ち帰らせる?

「な──何を・・・・・・?」

「俺はあいつらを使って、ウイルスの治療法開発の助けになるデータを、西側に届けさせたんだ」