無色の日の残像

 あの時──燃える海の上で、空気は何故か、無色が【カグヤ】に乗り込むのを許した。

 その直後に爆弾を作動させた。

 粉々になった輝神のシートの上で、全身ずたずたになりながら──それでも分厚い装甲に守られて無色は生き延びた。

 大きな音がして空が鳴った。

 がたん、と椅子を倒して、無色は床に転がり落ちた。

「大丈夫?」

 雨鳥が声をかけてくるが、何も返せない。
 無色は床に蹲ったまま、両手で耳を塞いで、がたがた震えていた。

「どうした?」

 あの日以来──無色が全てを失ったあの日以来、彼女は戦闘機に乗れなくなった。

 大きな音は怖い。
 戦場を思い出すのか、大きな音を聞くと何もわからなくなって座り込んでしまう。

「空気は──空気は死にました。羽海も、本当にあの飛行機に乗っていたのかわからないけれど──あの飛行機も味方に落とされた」

 そして。

 そして、透明も。