無色は動きを止める。
 ゆっくりと、空気を振り返った。

 島の方向で大きな爆音が鳴り響き、赤い炎が夜の海を朱色に染めた。

 味方機が撃墜されたのか、それとも逆なのか、どちらだとしても見たくない。

「いいよ、空気」

 無色は頷いた。


「きみとなら、死んでもいい」 



 青い海の上でも、眩しい空の下でもなく。

 赤々と燃える炎が照らし出す漆黒の闇の中。



 真っ白な閃光と共に大気が弾けた。