「どうかな」

 無色を捕まえたまま、空気は言った。

「でも、羽海が乗ってるんだって言えば、無色は落とせないだろ。羽海が乗ってる飛行機を、撃ち落としたりしないよな?」

「ふざけるなよっ」

 腕を振り解いた無色を、空気は優しい瞳で見つめた。

「ごめんな、無色」

 ぽつりと謝って、空気は輸送機のコックピットにある、何かのスイッチに手を伸ばした。

「な──何を・・・・・・」

「俺の任務はね、上手く爆撃ができればよし。もしもそれが叶わないなら──透明を守りに駆けつけるお前を、輝神と一緒にこの世から消すことなんだ」

 無色は、空気の乗ってきた機体を眺めた。

 小型輸送機。
 爆撃機ではなく。

「こいつの腹には、爆弾がぎっしりつまってる。輝神の装甲でも、たぶん粉々にできる」

 翼の上で、無色は一歩後ずさった。
 雲が月の光を隠した。