無色の日の残像

 拳銃を構える無色の腕を掴んで引き寄せて、空気は彼女を抱き締めた。

「俺は無色が好きだ。ずっと好きだ」

 空気は無色を抱いたまま、柔らかい灰白色の髪の毛を撫でた。

「もったいねえな。髪、伸ばせばもっと可愛いのに」
「な──なに言って──」

 空気の筋肉質なたくましい腕の中で、無色は藻掻いた。

「はは、相変わらずガリガリだな。でもお前、綺麗になったよ」
「──何言ってるんだよ、こんな時に!」

 無色は空気を突き飛ばして、翼の上でよろめいた。

 微笑んだまま無色を見つめている空気に何を言えばいいのかわからなくて、無色は無理矢理に話題を絞り出した。

「羽海は──羽海は、元気?」
「ああ」

 空気が頷いた。

「羽海は、もうすぐ来るよ」

「────?」