なぜだか納得してしまった。そうだよな。パクるの大好き、それしか出来ないチャイニーズだもんな。
「まあ、とにかくだ」
ディルクが説明を再開する。
「この遊戯……レッドアイズブラックドラゴンは表向きはガチガチの対西側組織の共産主義マフィアなのだが、実体は西側諸国と情報・人材・その他ありとあらゆる取引を行っていて、それで財を成している組織だ。もちろんディープステートとも繋がりが深い。よってこいつらにとっては、対中・対共産主義の『チャイナとの貿易なんてやめちまえ』的な風潮は実に面白くない上に困るわけだ」
うんうんと、あかりはうなずいている。
一時期はアメリカを始めとする西側先進国も、急成長するチャイニーズ経済に乗っかってチャイナとの貿易を活発に行ってたのだが、ここ数年はチャイニーズマネーの失速や、消費者の、粗悪な上に製造過程が不透明な製品の不買が増え、チャイナ相手の貿易はすっかり縮小しちまった。そこへ来てアメリカ、日本を始めとした工業先進国が製造・開発を国内回帰させたおかげでもはやチャイニーズ経済はガタガタ。今や風前の灯だ。
そんな今の状況はこのスターダス……レッドアイズブラックドラゴンにしてみれば、不愉快極まりないと言える。
「そこで最近やつらは、各国の対中強硬派の議員・政治家を暗殺して回るようになった」
ディルクが説明を再開した。
「どこかの国の議会で、中国に対する規制が強まるような法案が可決されそうになったり、逆に中国への規制を緩和しようとするような法案が否決されそうになると、対中派の議員を暗殺してしまうのだ。それがここ最近で11件起きている」
「ずいぶん短絡的な発想だな……」
「そうだ。所詮中国人の考えることだからな」
「で、その11件全てに、この王ってやつが絡んでるってわけ?」
話に飽きてきたのか、またどっかから持ってきたアイスをスプーンでペロペロやりながら、あかりが質問する。
ちなみにあかりを観察してたウェイターたちは、気分を悪くしてほとんどどこかへ行ってしまった。
「少なくとも当局はそう考えてるってことだな」
「根拠は?」
今度は俺が質問する。
「手口がみな同じだからだ。殺された11人は全員、最低1000m離れた場所から7.62mm弾で射殺されている。車に乗り込む直前、降りた直後、建物の入口付近、場所と状況は様々だがな」
「7.62mmで1000mだと……?」