思わず吹き出しちまった。
「な、何さ?! 何で笑うの?! てか失礼感マックスぢゃね?! 人がせっかく――」
「あ、ああ、悪い悪い。ぶはは!」
笑いをこらえるのが苦しい。
「ホントマジ失礼。言うんぢゃなかった」
口をとがらせ、再び忠吉をデコり始める。
「いやいや、お前に心配されるとは思わなかったからさ。悪い悪い」
あかりはふてくされながら、
「良いけどさ。てかジル、あの時あたしのこと『仲間だ』って言ってくれたぢゃん?」
「ん? ああ」
「あれってマジ?」
それこそマジ顔で俺を見る。
「あ、ああ、マジだ。マジに決まってんだろ? 何言ってんだよ」
「そっか……。あたしさ、最初無理やりジル達にくっついてきたぢゃん?」
デコりながら話を続ける。
「だな」
「だからさ。ジルはあたしのこと、仲間だと思ってないんぢゃないかって思ってて。いつも『居候』って呼ぶし」
「んなもん、言葉のアヤってやつだろ? 仲間だとも思ってない、信頼もしてないやつに背中任すかよ」
「そおゆうもん?」
「そういうもんだ。戦場ではいつもそうだった」
ふと、シールズ時代を思い起こす。
「だから、お前はこれからも俺達の仲間だ。それとありがとな。俺は大丈夫だからよ。気にしないでくれ」
「そおなの?」
手を止め、こちらを向いて聞いてくる。
「ああ、そうだ。ガチでNo problem.」
笑顔で答える。
「なら良いけどさ」
少し安堵した表情を浮かべ、あかりは作業に戻る。
あかりが聞いてたってことは、ディルクにも聞こえてたってことだな。ま、ディルクはあんな性格だから、あまり多くは聞いてこねえだろうけど。俺の過去については、こいつらには話しちゃいねえからな。
バラクーダはゆっくりと大海原を進む。
「なんか、たかが一週間くれえの話なのに、こんなのんびりするのすげえ久しぶりな気がするな」
「そだね」
手を止めず答える。
傍らに置いてあったバドワイザーをごくりと飲む。苦みと炭酸が痛めた身体にしみる。