ばうんてぃ☆はうんど・vol.2~鷹の目の向こうに《改訂版》

「武士って……。ガイジンのあんたが言っても、説得力的なもんゼロだし」
そう言いながらもスケボーに乗り、忠吉(デコ)を抜刀術の構えにする。
「良いよ」
「よし。俺が撃ち始めたらすぐ行けよ」
クラッチを切り、ギアを1速に入れ、スロットルを開ける。
「命令口調ムカつく」
「いくぞ。3、2、1、……」
一気にクラッチを繋ぎ、
「GO!」
ぎゃぎゃぎゃぎゃっ! と後輪がホイルスピンをし、ホンダCBR1000RRが通りへ飛び出す。
王がライフルを構え直すのが見えた。だが、
「俺が先!」
 
タラララララ!!
 
5.56mm弾をフルオートで王に向けて叩きこむ。ほとんど狙ってなどいない。まず当たらないだろう。だが、王を一瞬ひるませるにはこれで十分だ。
発砲を確認して、あかりがスケボーで飛び出す。デコ忠吉を構えたまま、一直線に電柱へ。
屋上で、王が俺とあかり、どちらへマズルを向けるか一瞬迷ったのがわかった。
「四剣星閃流――」
あかりの声。周囲の大気があかりへと収束し、揺らいでいるように見える。そのままのスピードを維持したまま、電柱へと突っ込み――
「参ノ剣! 断鉄《テツヲタツ》!」
きんっ! と甲高い金属音にも似た音がして、あかりは忠吉を抜き放ちざま電柱の脇を走り抜けた。次の瞬間――
 
ず……ずずずず……ずっ……どおおおおん!!
 
電柱が斜めにずれたかと思うとそのまま倒れ、王の立っていた屋上を直撃した。電柱の根元は、まるでカミソリで切ったかのようになめらかに、すっぱりと断ち切られている。やっぱとんでもねえわ、あいつ。
だがこれで、屋上への『橋』が出来た。
「よっしゃ! よくやった!」
俺は倒れた電柱にバイクで飛び乗り、
「いっけー!!」
そのまま一気に駆け上がる。
やがて電柱の先端。屋上。辺りは壊れた電柱と崩れたアパートメントの破片で、もうもうと埃が立ち込めている。ほとんど視界はない。俺はそのままジャンプし、
 
タラララララ!!
 
さっきまで王が立っていた辺りに、デタラメに弾を叩きこむ。当たればラッキーくらいなもんだった。しかし――
 
ばぎんっ!
 
「いでっ!」
ヤローは正確に俺のM4に弾を当ててきやがった。ほとんど視界も効かねえはずなのに。俺はそのまま空中でバランスを崩し――