ばうんてぃ☆はうんど・vol.2~鷹の目の向こうに《改訂版》

「やだー! 死ぬー!」
「だから黙ってろ! 舌噛むって言ってんだぎっ!」
また噛んじまった。
「クソワロタ……♪」
「うゆへえ! おまへのへいはほ!」
しかも、さっきと同じとこ噛んじまった。最悪だ。
路地を突っ切り、車にはねられそうになりながら幹線道路を横切り、また路地を突っ切り……。やがて、ひときわ大きな通りに出ると――
「あった!」
通りのど真ん中でヘリが一機、無残な姿で煙を上げている。燃料タンクは無事なのか、爆発はしてねえ。だが機体は完全にスクラップになっているので、何の機種だか全然わからん。
まだ警察は到着していないようだった。野次馬達が、遠巻きに取り囲んでいる。俺はバイクのスピードを落とし、ヘリの残骸のそばまで近づく。
「いるかな? 王」
機首を下にして墜落したらしく、コクピットは完全にぶっ潰れている。コクピットがあったとおぼしき周辺には、キャノピーのものと思われる無数の破片。おそらくパイロットは即死だろう。
「後部を――」
調べようとしたその刹那、視界の端に光をとらえた。嫌な予感がして、俺は一気にバイクをアクセルターンさせる。
 
びしっ!
 
たった今俺達がいたその場所。まさにそこの地面に弾丸が撃ち込まれる。
「やっば!」
「同感!」
言いながらバイクを急発進。すばやく手近な路地に滑り込ませる。
 
ばしっ!
 
飛び込む直前、すぐ脇の壁にもう一発撃ち込まれた。
「やっぱ生きてやがった……。な? 俺の勘当たるだろ?」
「てか、よく今のわかったね。あたしガチで気付かなかったんですけど」
「この天気のおかげかな」
空を見上げると、さっきまで曇りだった空に光が差し込んでいる。今日は一日曇りの予報のはずだったが、予報が外れたようだ。
さっき見えた光は、スコープの反射光だったんだろう。王ほどのスナイパーにしちゃ、初歩的なミスだ。そんだけ切羽詰まってるってことなのかも知れねえが。
「天気予報が外れてラッキーだったのは、ジュニアハイ以来だな」
「何かあったの?」
「ま、ちょっとな。けど今はどうでも良い。問題は――」