微妙におかしいと思い始めているようだ。俺の後ろからあかりもやってきた。
全員そろったところで、
『通りすがりのBHだ』
別に合わせるつもりはなかったのだが、タイミング良くハモってしまった。
「ば、BHだあ?! そんなやつらが俺に何の用だよ?! つつもたせみたいなマネまでしやがって!」
逆切れを起こしている。
「へええ。ジャパニーズじゃこういうの“ツツモタセ”ってのか。
まあそんなことは良いや。お前の賞金、いただきに来たに決まってんだろ」
「賞金?! 俺に賞金なんかかかってんのか?!」
どうやら知らなかったらしい。たまにいるのだ、こういうやつ。
ディルクはため息をついている。
「間抜けだな。ま、とりあえずおにーさんたちと来てもらおうか。大人しく俺たちの生活費になれ」
「他に言い方はねえのか?!」
両手に手錠をかけ、そのまま引っ張って行く。行き先はもちろん、ICPOマイアミ支部だ。
 
「っかー! ロブスターうめえ! ビールもうめえ!!」
ヒムロをICPOにつき出し、無事賞金もゲットできたので、今夜は久しぶりに美味いもんでも食おうということになった。
マイアミビーチに面したオープンテラスのバフェィ。値段は高いが、その分高級食材を取り揃えている。もちろん料理の数も豊富だ。
せっかくリゾートに来たのだからと、俺とディルクも海パンに着替え、夕暮れのビーチを眺めながらディナーを楽しむことにした。ここのバフェィには、ドレスコードはないのだ。
俺はもう一口ロブスターにかぶりつき、バドワイザーで流し込む。あかりのやつは俺の向かいで、2ポンドはありそうな巨大なバーベキューリブにかじりつきながら、横に5人家族で使うようなボールいっぱいに入ったシュリンプシーザーサラダと、ロブスターのグリル丸々3匹を並べて、ダイエットコーラをジョッキで飲んでいる。おまけにこれは3巡目だ。
はっきり言ってかなり目立ちまくりだ。ウェイターたちが一列に並び遠目から観察している。時々『Awesome!』だの『Unbelievable...』だのと聞こえてくる。