ばうんてぃ☆はうんど・vol.2~鷹の目の向こうに《改訂版》

しかも、もし防弾プラがなかったら、間違いなくデュケインのドタマ直撃コースだった。
やがてヘリはくるくるとコントロールを失いながら、どこかのビルの屋上にぶつかって墜落したようだった。機体が地面に叩きつけられた轟音がここまで聞こえてくる。
『フェイズ1完了。ジル、行け。僕もここから援護する』
「了解! フェイズ2発動! あかり、しっかり捕まっとけよ!」
「変な妄想すんなよロリコン!」
「するか! 行くぞ!」
俺はバイクを急発進させ、ヘリが墜落したであろう現場を目指し走らせる。
 
道路は、野次馬と警官と警察車両とで、ほとんど通行不能状態だった。俺はバイクを右へ左へコントロールしながら、隙間をすり抜けて走る。一瞬でも集中力を切らしたら、たちまち大事故だ。
「目、目が回りそう……!」
「しゃべるな! 舌噛むぞぎっ!」
俺が噛んじまった。
「ワロタ……♪」
「うゆへえ!」
すげえいてえ……
国連ビルから結構離れたが、なかなか道路がすいてくる気配がない。このままじゃ王に逃げられちまう。
「ねえ! ヘリ墜落しちゃったみたいだし、王も死んぢゃったんぢゃないの?!」
メットにインカムつけてんだから、そんなでかい声出す必要はねえんだが、風の轟音に負けまいと、つい叫んじまってんだろう。あかりが疑問を口にする。
もっともな疑問だったが、
「いや! たぶん生きてる!」
「なんでさ?!」
「勘だ!」
「てか全然あてになんないし!」
そうは言っても、ホントのことなんだから仕方ねえ。心のどっかで聞こえるんだ。『こいつはそんな簡単に終わるヤマじゃねえ』ってな。
それにこんだけの大物だ。例え死体でもICPOに引き渡せば、半分くらいは賞金もらえるかもしれねえ。
どっちにしろ急がなきゃダメだ。俺は幹線道路を諦め、
「裏路地に入るぞ!」
「ってマジ?! うわっ!」
車体をぎりぎりまで倒し急旋回。ビルとビルの間の路地へ入る。
さらに危険度が増した。ただでさえせまい路地の中を、ゴミ箱やらホームレスやらが道をふさいでやがる。それでも俺はお構いなく、スロットルを全開に保つ。
「ち、ちょっと! 無理無理! ありえんてぃー! スピード落として!」
「落としたら、ショートカットの意味ねえだろ!」