ばうんてぃ☆はうんど・vol.2~鷹の目の向こうに《改訂版》

「知ってるわ! てか、人をペ●フィリアみたいに言うな! お前みてえに胸も何もねえ幼児体型なんか、まったく興味ないわ!」
「キタっ! セクハラキタよコレ! マジサイテー! JKの敵! リアルに死んじゃえ虫!」
「虫?!」
『おい、何してる』
インカムからディルクの声。
『むやみに騒ぐな。ここからでもわかるくらい、お前ら目立ってるぞ』
「あ、ああ、悪い」
「怒られてるし。草生えるー♪ ぷぷっ」
「っとにムカつくクソガキだな、お前は……」
「てか、あそこでホットドッグ買ってきて良い?」
指さす先には、一軒のホットドッグスタンド。
「ダメに決まってるだろ!」
「だってこの空腹感、マジありえんてぃー」
「我慢しろ」
「それこそありえんてぃー……」
言ってると、3台目の車が入ってきた。やはり黒塗りセダン。
「ほら、3台目来たぞ。警戒しろ」
「ぢゃホットドッグ買ってくるから。ジルも食べる? 30本くらいで良いか」
「話聞け!」
パンダの財布を片手にバイクを降りようとしたあかりを引き止める。
「車来たっつってんだろ! 仕事しろよ仕事!」
「どうせまたハズレだってー……」
ぶつぶつ言いながらバイクに座り直す。と――
「ビンゴじゃねえか」
後部座席から降りてきたのは、まぎれもないデュケイン本人。警察、プレス、そしてもちろん俺達にも一気に緊張が走る。
「ディルク。来るぞ」
『問題ない。どこから撃ってきても、すぐに特定する』
デュケインは周りを4人のシークレットサービスに固められ、その外側をさらに4人のシークレットサービスが、さらにその外側はFBIとニューヨーク市警が警戒する。
こんな厳重な警戒、なかなか見れるもんじゃねえ。大統領並だ。
デュケインがやや足早にビルへと近づく。さあ、いつ来る? あと5歩で中へ入っちまうぞ? あと4歩。3、2、……
刹那――
 
びしっ!
 
デュケインと、たった今降りてきた車の間の空間に、放射状の亀裂が走る。ちょうど亀裂が空中に浮いてるように。
周りのプレスや野次馬どもが悲鳴を上げて、一斉にその場に伏せる。警官達は無線を片手に怒鳴りながら、辺りに散開していく。上空では、警察のヘリも一斉に動き始めた。