「だよな。だとしたら、やつはどうやってデュケインを狙うと思う?」
「正直わからん。王のことだから、何かウラをかくような方法を取ると思うが……」
「警備関係者以外で、一番デュケインに近づけるのって誰?」
珍しくあかりが疑問を口にした。
「そりゃプレスじゃないのか?」
俺が答えると、
「ぢゃあプレスに紛れて近くから殺るんぢゃね?」
「いや、それはないだろう」
すぐさまディルクが否定する。
「人ごみから近距離で発砲すれば、すぐに取り押さえられて逃走が不可能になる可能性が高いし、何よりやつは長距離狙撃にこだわる筋金入りのスナイパーだ。そんなことはしないだろう」
「そっか……」
「しっかし、狙撃ポイントの予想がつかねえんじゃ、やりにくくてしょうがねえな」
「仕方ない。手元にある情報だけで、対応するしかあるまい」
「ま、そうなんだけどよ」
「あのさ。も一個気になってたんだけど」
またあかりが質問してきた。
「なんだよ」
「王が明日の会議当日ぢゃなくて、今日殺っちゃうってことはないわけ?」
「いや、それはねえよ」
すぐさま俺が否定する。
「なんで?」
「あのDM見たろ? あれは明らかに俺達――てか、ディルクに対する挑戦だ。やつはディルクと勝負したがってる。だから、いつ行動起こすかわからんような日じゃなくて、はっきりわかりきってる会議当日に必ず動く」
「ふーん。てか、なんでそんな勝負的なことしたがんの?」
「そりゃお前、男ならなんつーかライバル的なやつと勝負したくなるっつーか、倒しておきたいやつってのがいるもんなんだよ」
「なんか、ちょーあいまいなんですけど」
「そういうもんなんだ。わかれ」
「てか、ムキになってね?」
「なってねえよ。お前も男になればわかる」
「いや無理。超絶なりたくねーし」
「女なんかのどこが良いんだか……」
言いながら、俺は再びベッドにひっくり返る。
「なんかそおやってゴロゴロされると、緊張感的なもんがゼロになるってゆーか」
「うるせえ。俺はこの体勢の方が良いアイディアが浮かぶんだ。
そもそもお前、緊張感なんか一度も持ったことねえじゃねえか」
「うわー発言の撤回ガチ要求ー。あたしだって仕事のときは緊張感くらい持つし」
「どうだかな」