「まあ確かにな……」
言って俺は地面にマグライトを当てて、芝生の状態を確かめる。足あとを探すためだ。
「ここに足あとが一組あるな。たぶん、ここに両足で飛び降りたんだろ」
俺が指し示す位置を見て、
「ああ。だがその後の足あとが見当たらない。うまく消しながら逃げたようだ」
「タイヤの跡も何もねえから、徒歩だな。もっとも、こんなとこにヴィークルで入ってきたら目立ちまくるが」
バイクを叩きながら、俺は言う。
「その通りだ。
……見る限り、他には何もなさそうだな」
「だな。これ以上は無駄骨だろ。あとは……連中に任せるか」
俺達がやってきた方角。武装したFBIだかニューヨーク市警だかの連中が、マグライト片手に犬まで連れて大勢やってきた。
犯人呼ばわりされるのはまっぴらなので、事情を話し、状況説明してその場を去ることにした。
元いた場所まで戻ると、あかりが珍しく真剣な顔してタブレットを見つめてやがった。
俺達に気がつくと、
「あ。どうだった? 王いた?」
「いや、逃げた後だった。それよりお前何見てんだ?」
「いや、さっきいきなりSNSにDM来たんだけどさ……」
「DM?」
「これ……」
言って俺にディスプレイを向ける。覗きこんでみると――
「こいつは……」
「……ちょいヤバめ?」
ディルクも覗きこみ、眉間にしわを寄せる。
そこにはこう書かれてあったのだ。
 
『鷹の爪で銀の弾丸を捕らえられるか?』