ちなみにNSAとは『National Security Agency《国家安全保障局》』のことである。詳しくはウィル・スミス主演の『エネミー・オブ・アメリカ』という映画を観てもらえればわかる。
「なら、やることは決まったな」
ディルクの言葉に、
「ああ。まずなんとかして、ウィリスに接触する。普通に考えて、殺るならウィリスが先だろう。議会の前に消さなきゃ意味がないからな。
けどそうすると、デュケインの警備が強化されて、王にとっちゃ仕事がしにくくなると思うんだが……」
「そこは問題ないだろう。少なくとも、王にとっては」
ディルクが言う。
「なんでだ?」
「例えシークレットサービスが三重四重に警備を張り巡らせたとしても、やつにはなんの脅威にもならないはずだ」
「つまりそれだけ――」
「そう。やつの腕と任務遂行能力は、桁はずれということだ」
ディルクが『桁はずれ』と言ったんだ。今回は相当手ごわいやつを相手にしなきゃならねえらしい。
「んじゃ早速作戦練るとすっか。
おい、あかり。いつまでもボーっとしてんじゃねえ」
「……ちょー眠いし……」
「ったく……。
で、マックス。お前はどうする? 一口乗るか?」
「あ? 俺? いやいやいや無理だって。さっきも言ったけど、俺の手に負える相手じゃねえよ。あんたらの足引っ張るのがオチだ」
「そっか。じゃあこっから先は俺達だけでやるぜ。貴重なソース、さんきゅな」
「おう。ま、がんばってくれよ」
「ああ。じゃあな」
言って俺達は別れ、作戦会議のためホテルへと戻った。