「もったいぶらないの!!
どうせいつも通りに
推理小説なんでしょ?」
「………」
「何?いつもならはっきりと
言うじゃん。どうかした?」
「そういう訳じゃないけど…」
「ふ~ん」
こうやって何かを
考えている目つきは危ない。
結依が何かをしようと
企んでいる微笑。
肩がビクってした。
「も~らいっ!!」
「か、返して!」
すばやく取り上げられた小説。
そしてゆっくりと
ブックカバーが外された。
「『あまずっぱい』…?」
「や、やめてよぅ…」
「『コイ』……?」
だから言いたくなかったのに。
「恋ーーーッ!!!」
いくらなんでも
驚き過ぎだから。

