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俺、龍慈は心臓がバクバクして、
止まらなかった。
さっきまで握っていた
蓮実の手がなくて、
あたたかさが消えた。
悔しくて、ギュッと拳を握った。
蓮実が取り上げられて、
血の気が引いたようだ。
ここで彼女を人質に
取られるのは危険すぎる。
なぜならば蓮実は今、
総長の腕の中にいるから。
がっちりと固定され、
逃げられそうにはない。
新月の奴らが晴樹を
逃がさないように囲んで
立っていた。
総長の隣には
俺の兄貴がいる。
俺は総長の斜め後ろに
こっそりと立っていた。
俺は、何もできない
未熟者だ。
一方、総長と晴樹は
正面で対峙していた。
同時にさっきまでの
騒ぎから一変する。
静かな緊迫な空気が
漂っていた。
その中、総長が
晴樹君に向けて口を開いた。

