香ばしいコーヒーの香りが微かにして、段々と意識がはっきりしてきた。






なんか……温かい。



つーか、俺、死んだ…?








目を開けると、黒い壁。







…………ここ、どこだ?







上体を起こすと、黒で纏められたシンプルな部屋に居た。






まじでここどこだよ。







よく見ると、俺はソファに寝ていて、ご丁寧にも毛布まで掛けられていた。








誰かが俺を見つけた………?




助かったのか。









その時、カウンターから人が出てきた。





うおっ、びびった。















「目、覚めたか」

「……はあ」

「具合はどうだ?」

「………何とも、ないです」

「そうか」






男の人は緩やかに向かい側のソファーに座って、俺を見て軽く微笑んだ。





短髪で少し髭を生やしているその人は、男の俺から見ても格好良いと思った。





って、こんな時に何考えてんだ俺。











「お前、うちの店の路地裏で倒れてたぞ」

「……路地、裏?」

「ああ。あん時はびっくりしたよ。死んでんのかと思った」







………店?









「ここ、どこなんですか」

「ここは俺の経営してる店。喫茶店だ」

「喫茶店…」

「……………お前、どこから来た」






俺の顔を見ながら、真剣な表情で問う。



……学ラン、だしな。










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