ゆかりとたっくんの提案で、夜ご飯を隆介と4人で食べに行くことになった。


毎日のように隆介との出来事をゆかりに報告している私…

もちろん、ゆかりの彼氏であるたっくんも全て知っちゃってる。



「あと一押しだな、美亜ちゃん!」

爽やかに私の背中を叩くたっくん。


久しぶりに見ると、本当に爽やかな人だって思う。

優しくて、笑顔に裏がないって感じがする。


でもね、私には物足りないんだ。


隆介マジックにかかってる私には、たっくんのような優しい人は何か足りないんだ。


あいつの鋭い目、冷たい言葉…


すごく求めてる。



たった一日会わないだけで、体も心も隆介を欲しがって仕方がないんだ。



少し遅れてきた隆介が、髪を整えながら近づく。


『ふぐ食いたい』なんて贅沢な隆介の一言で決まったこのお店。


快くOKしてくれるたっくんも、隆介マジックにかかってるのかな。


ちょっとリッチな晩御飯。


目も合わせてくれないで…私の隣に座る隆介。



「腹減った~!ふぐなんて何年ぶりだろな?給料日だから、ぱーっと行こうぜ。」


隆介らしくないテンションの高さに思わず笑ってしまう。



メニュー見ながら、子供のようにはしゃぐ姿がかわいくて仕方ないよ。


まるで私のことなんて無視。


たっくんとゆかりにばかり話しかける隆介の横顔をそっと見つめる。


…あ、新しいピアスしてる。


「おう、久しぶり!」


やっと目が合った。


1日会わないだけで久しぶりって言ってくれたことが嬉しくて…

そんな私に気付いたゆかりが優しく笑ってくれてた。


「今日、星出るかな?美亜~」


隆介は、耳元でそんなこと言うんだ。

真っ赤になってる私を見て、隆介とたっくんが笑い出す。