何も言わずに私を優しく包む隆介は、私の髪を撫でながら深く息を吐く。
「これで、満足?」
…バカ。
完全に隆介のペース。
隆介はいつも余裕で、大人で…
…??
あれ?
隆介の心臓の音…
私と同じくらい速くなってる。
信じられないけど…
私の頬に触れる隆介の指先が、ほんの少し震えていた。
余裕…じゃないんだ。
からかってるわけでもないんだね。
これが隆介の精一杯の愛情表現なんだね…
私は、隆介の体に顔を押し付けて、背中に回した手に力を入れた。
「ほら、行くぞ。」
私の髪の毛、わざとぐちゃぐちゃ…ってしながら、私から離れた。