面接室と書かれた白い紙が貼られてある会議室のような部屋。
その前で私と美菜は大きく深呼吸・・・
・・・トントン。
『失礼しま~す』
重く開けにくい扉を開けて目の前にいたのは、見るからに牧場が似合うおじさんと綺麗なお姉さんだった。
面接なんて言いながら、お菓子とお茶を飲みながら雑談・・・
緊張してる暇もないくらいにたくさんの質問をされ、笑ってばかりいた。
「君の顔は、バンジー向きだね」
その一言で、美菜がバンジージャンプの担当になり、
「君は、パターゴルフだ」
と・・・私はあまり興味のないゴルフ担当。
…ってゆうか!!
牧場で働くのに、全く動物に触れ合えない職場に配置されてしまった私達。
「早速今から軽く仕事覚えようか。」
畠山さんというおじさんは、牧場で2番目に偉い人だって、後から聞いて驚いた。
「美菜~~!離れるのやだよぉ!一緒がいい!」
「美亜~、私高所恐怖症なのに・・・やだやだ~!」
名残惜しそうに手を握り合う私達は畠山さんに引き裂かれた。
今までのバイトで感じたことのない不思議なワクワク感と、どんなことをするんだろうって言う不安で、お腹がムズムズする。
部屋を出て、牛の歩く草原を目にした時・・・
どうしてかわからないけど、ここで働けることが本当に嬉しいって思えた。
きっと、満員電車での通学や、学校での講義・・・結構ストレスがたまっていたのかもしれない。
忙しい日々の中で、こんなにゆっくりとした時間が流れているこの場所にいられることが嬉しかった。
どんだけ~ってくらいノロノロ歩く牛が、私の目には新鮮に映った。