唇と唇が触れることで

隆介の心の中に入ったような不思議な気持ち。




そっと触れた唇が

ゆっくりと離れる。



風が公園の木々と、滑り台を揺らす。



「お前・・・Sなら、俺のこと殴れよ!」


隆介がもう一度私を抱きしめる。

心臓と心臓がくっついて…


ドキドキの大合唱。



「殴んないの?俺のこと…キライなんだろ?」


隆介はもっと強く抱きしめる。



いじわる・・・


何を言わせたいの??



それ以上言うと・・・言っちゃうよ。



『好き』って。



隆介が私のおでこの髪をかきあげた。


「俺のこと、キライ?」


私は首を横に振る。


好きだよ。


大好きだよ。



言ってもいいの?



「お前を俺のペットとして認定してやるよ…」



そう言って、



おでこに…



チュッ…ってキス、してくれた。




「ぺ、ペットに認定されるとどうなるの?」


私は隆介の胸に顔を埋めながら聞いた。



「ん?いつでも俺ん家に来ていい・・・とか、いつでも俺を独り占めできる・・・とか?まぁ、他にも特典はいっぱいある。」



私は、隆介の分厚い胸に思い切り抱きついた。



隆介の大好きな匂い。

隆介の鼓動。

隆介のぬくもり。




好きだなんて言ってくれなくてもいい。



それだけで充分だよ…



恋愛に踏み込めない隆介の精一杯の愛だってわかるから…





隆介の手で魔法にかけられた私は、隆介に手を引かれるままに歩く。