「隆介のバカ!」


私はもう隆介の目が見れない。



「それだけ?」


隆介が掴んだ腕を離し、今度は手を握る。


「隆介の自己中!」


私は思いつく隆介をいじめる言葉を捜したが、脳が思うように働かない。



「隆介の…いじわる・・・」



もう何も言えないくらいに体が動かなくなってた。


隆介の魔法・・・



「もっと、いじめろよ!俺のことキライって言えよ!」


隆介が・・・


私の腰に手を回す。


滑り台の上で・・・


星に近い場所で・・・




今、大好きな人とこんなに近い距離にいる。




「隆介なんか・・・隆介なんか・・・大・・・きら・・・」



言えないよ。


キライなんて・・・


嘘でも言えない。



「隆介なんか・・・・・・・・・」



腰に回された手に力が入る。



引き寄せられた体は・・・


隆介の力次第でどうにでもなるくらい、ふにゃふにゃだった。




「俺なんか・・・・・・何だよ・・・言えよ。」



隆介の声が私の耳元で聞こえる。


月明かりが綺麗で、夢の中だと錯覚してしまう。



「美亜なんか……・・・」



隆介は・・・


そこまで言うと・・・





キス・・・




してくれた。







月の下。



星に近い滑り台の上。






優しい優しい


キス。