お母さんを見送りながら、手を握ってくれた隆介。


クリスマスは特別なんだ。


普段より数倍優しいね。




タクシーが見えなくなるまで手を振っていた。



こんなときに限って信号は全部青。

あっという間に、お母さんの乗ったタクシーは見えなくなってしまった。




「じゃあ、今からは2人でクリスマスだな!」


隆介がバイクにまたがりながら、私の手を引っ張る。

ひんやりとしたバイクの座席が気持ちよく感じるくらいに体が火照っていた。



…こいつと


結婚すっから




こいつと、結婚すっから…





頭の中できっと100回くらい思い出していた。


バイクの後ろで、隆介の背中に耳を付けながら…



何度も何度も繰り返した。



忘れないように、


色褪せないように…




一生大事な宝物。




『こいつと結婚すっから』