おばあちゃんと庭先で話しているうちに、隆介の目がすごく柔らかくなっているように感じた。


鋭い目じゃなく

穏やかで

ふんわりした優しい目。



そして、声も優しかった。



懐かしい話をするたびに、置いてけぼりになりそうな私の手を握ってくれた。



「ばあちゃん、俺の彼女…」

照れくさそうにそう言って、私を紹介してくれた。


おばあちゃんは、私の手を握り…


「お母さん見つかるといいね…」


って笑った。



「ゆうちゃんのお母さんなら知ってるんじゃないかい?」


おばあちゃんは悠亜さんの顔をゆっくりと撫でた。


きっとおばあちゃんの中では、まだ子供のまんまの2人。



「ここに来る途中で、母に電話したんだけど…ここ2年くらい連絡がないらしくて…でも、何か手掛かりがないか、探してもらってる。隆ちゃんの彼女、ほんとに優しくて良い子でしょ?」


悠亜さんに会えば、すぐに隆介のお母さんの居場所がわかると思っていた私は、少し落ち込んでいた。


もし、ここで何も手掛かりがなければ…


またゼロから…




おばあちゃんの部屋でお茶を飲んだ。


隆介は、懐かしい部屋を何度も見回していた。



隆介は、なるべく私の知らない話を避けてくれているようだった。


本当は、もっと話したいことがあったんだと思う。



初恋の悠亜さんとの間に、きっといろんな思い出がある。