お父さんのぬくもりに重ねていたのかな。



大好きなお父さんの大きな背中と

隆介の背中は少し似てるから。



この夏に、親友のゆかりのお父さんが病気で倒れた。


それを聞いて、私はずっとずっと昔の幼い頃の記憶を心の中からそっと取り出した。



Sな奴だけどね、隆介は…


お父さんのこと思い出して眠れない夜に、会いに来てくれた。


たった1回だけど…


そんな優しさを知っちゃったから…嫌いになんかなれないよ。



『ほら!今、あの星…チカチカって光ったぞ!あれ、美亜の父ちゃんじゃねぇ?かっこいい男と一緒にいるから、心配してんのかもな!』


そう言って笑わせてくれた。



最初で最後の隆介の優しい夜。



今でも毎晩思い出す。


優しく頭を撫でながら、『おやすみ、美亜』って言ってくれた隆介を。




彼女になったら…

こんな風に優しくしてくれるの?



隆介に愛された人はこんな幸せを感じられるの?




やっぱり、好き。



やっぱり…あんたの彼女になりたいよ。



思い出すとよけいに涙が止まらなくなる。

店から聞こえる笑い声も、お父さんを思い出させる。



見上げた夜空に…チカチカって瞬く星が1つ。



…お父さん。



見てる?



美亜のこんなバカな恋を見てる?