どうやってここまで来たかわからない。



私は頭の中が真っ白になって、隆介の部屋を飛び出した。



静かに閉めた玄関のドア。


アイツは気付いてない。




今も鈴子と電話してるんだ。


いつまでも喋ってればいいよ。


邪魔者は消えるよ。




もう、行けばいいじゃん…


家、近いんでしょ?




会って話せばいいじゃん。



きっと、みーたんも…お母さんに会いたいよ。




玄関を飛び出して、とにかく走った。



古い定食屋さんの前を通ると、懐かしい魚の煮物の匂いがした。




急に涙が溢れて…


その匂いを嗅ぎながら、しゃがみ込んで泣いた。