「キャンディーいるから連れて行かない。」


隆介のその『キャンディー』という名前。



チラっと聞いた事があった。


鈴子の飼ってる猫。




隆介は携帯をあごに挟んだまま、私に手招きする。


そして、弁当を指差す。


…弁当、持って来いってこと?




私は、わざわざお箸を割ってあげた。


隆介は器用にあごに携帯を挟みながら電話をしてる。




「猫とネズミって仲悪いはずなのになぁ。なんで鈴子んとこは仲良いんだ?」



猫。

ネズミ…?



ネズミを飼ってるの?


鈴子は。



ネズミって?




もしかして…ハムスター?



みーたんとりゅーたんの兄弟だったらどうしようって心配になる。



バイトの友達からもらったってことは、鈴子がもらっててもおかしくない。



私はみーたんを手に乗せたまま、鼻を近づける。



「俺んちも良く食うよ!さすが親子だな…」



私は、小さい頃から勘が鋭い。


その会話だけ聞いて、全てがわかってしまった。




兄弟なんてそんなのマシじゃん…


違うよ。



親子なんだ。




私の家の『りゅーたん』とここにいる『みーたん』は

私の最大のライバル、鈴子の飼ってるハムスターの子供。