『ちょっと待ってろ…』
続きが気になるところで、お預け状態の私は、受話器の向こうの隆介の行動を知るために耳を澄ませる。
ガチャ…
シュパ…
あ。
もしかして、ビール?
隆介の家の冷蔵庫で遠慮がちに並んでたビールの缶を思い出す。
飲まないのに置いてある理由を聞くと、『何かあった時の為・・』って言ってたっけ。
『もしもし…あ、ごめんごめん。』
ゴクンゴクン…
一気飲み??
『隆介、続き・・・気になるよ。』
ベッドの隅に腰掛けたまま窓の外の月の明かりを見つめた。
『あのな…あの・・・鈴子に好きだとは言ったけど…あの後な・・・これからは美亜と一緒にやっていきたいからって言ったんだ。』
いつもと少し違う口調がかわいかった。
嬉し涙が溢れる。
『聞いてるか?あのな…鈴子は何かあるとすぐに俺に頼るから・・・だから、これからは俺には頼るなって言ったから。俺が大事にしたいのは美亜だからって。』
酔いが回ったのか、普段では想像もつかないセリフを言ってくれた。
『美亜ぁ~、盗み聞きしてくれてたら、自分で伝えなくてラクだったのに…ば~か!』
酔ってるせいか、少しエッチな声がまたかっこいい。
私は左手で携帯を持ち、右手で自分の左胸に触れた。
ドキドキドキ…
恋する体は激しくドキドキしてる。

