彼女の名前は 依那。


小柄で女の子らしくて

私にないものを持ってる。



私の彼氏に手を出すような悪女には見えない。



だけど…


彼氏が認めた。


「依那には黙っててほしい。バレたこと…きっかけは依那からだった。」



それ 聞いて


すがりつく気持ちもなくなった。


ダッサイ奴。



どうせなら

自分が全部の罪を被るくらいの男らしさが欲しかった。



浮気を 相手のせいにして…もめたくないから黙ってろ?



勝手な奴だけど

二年間も付き合った初恋の人。




だから、我慢した。




誰にも言わずに


一人の胸にしまい込んだ。





だから、依那は卒業までみんなの人気者でかわいくて素直なままでいられた。


私が


誰かに話してたら、どうなった?





いつか


ひっぱたいてやりたい。





だけど、自分が選んだ男が好きになった相手。



悔しいけど

負けを認めるしかない。




どんなに好きな人がいても


ちょっとした隙があると

誘惑に負けちゃうこと、あるよね。



実際、ちょっと前…


私の親友のゆかりは

大事な大事な彼氏がいるのに、


他の男に気移りしたんだ。



すぐに間違いだって気付いたけど、



誰でも そんな迷いや間違いは…あるよね。





だから、彼氏だった人も依那のことも

いつかは、許したい。



だけど、


やっぱり殴りたいって気持ちは消せないんだ。