結局染み付いた臭いに業を煮やし、床に傷を付けないようにバスタオルにソファーを乗せ、バルコニーまで引きずり出した。 「着替───有んのか?」 自分に発せられた言葉だと認識し、小さく頷く。 「黒い方の鞄の中に…‥」 そう言って立ち上がろうとした。