「上がれよ」 すごすごと廊下に足を下ろす。 穴の空いた靴下で。 「ちょっとココに居ろ」 リビングに戻ると、ソファーでぼんやりしているリカがまた、首を傾げる。 「リカ…‥」 「どうしたの? なんなの?」 しばらくその顔を眺めていたが、瞼を強く落とすと俺は廊下を振り向き、佇む人を呼びつけた。