サンダルのあの音を耳で確認しながら、俺はエントランスに続く扉を開ける。 少しは俺の怒りが効いたのか。 サンダルの音は最初より早くなっていた。 金殿玉楼とまではいかないが、都会の雰囲気を匂わせるエントランスに入り、キーロックを外す。 『はい?』 リカの透き通る声が耳に痛い。 「────俺」 『おかえりなさ~い。夕飯出来てるわよ』 「ん」 フツッとインターフォンの切れる音を確認し、自動ドアを潜った。 .