ダッシュボードを開け、何処かの粗品のポケットティッシュを放り出す。 膝の上に置かれたそれを見詰めたまま、いらないよ、と小さく老婆は呟いた。 「いいから使えよ」 「もったいない…‥」 粗品だぞ? クシャクシャの、汚れたティッシュを使うより、ずっといいだろうに。 また、ウンザリした。