「乗れよ」 顎で助手席側を示し、俺は運転席に身を預ける。 生暖かいシートに、背中の汗が敏感に反応する。 エンジンを掛けると一気にエアコンの風量を上げ、温度を下げた。 さて、どうする? 横で小さく座る人間に難色を示しながら、俺は先を案じた。 このまま、連れて帰るわけにもいかない。 だからと言って本当に置き去りにするのも、禽獣じゃ無いし。