「…‥もしもし」 聞こえたのは見知らぬ男の声。 『郷原さんですか?』 「ええ」 何の愛想も無いトーン。 『赤月警察ですが、お母さんの千代子さんを保護しています』 朝、剃ったばかりの髭がほんの少し、ザラザラして。 なぞる手が止まった。 天気予報、当たったな。 そんな事を思いながら、窓の外、降る雨がぼんやり目に写った。